【50代主婦 はじめての株式投資】株式相続の体験談
個人事業主として生涯現役を貫いた実母が昨年亡くなり、相続の事務手続きを経験しました。
その中で株式の相続も行い、勉強になることがたくさんありました。
これから老後を迎える自分が、2人の子どもの手を煩わせず、トラブルにならないように、どのように運用していこうかと考えるきっかけにもなったので、私の経験をまとめてみます。
私の体験がすべてのケースに当てはまるわけではないと思いますので、ご承知おきくださいね。
前提
・被相続人(故人):母
・相続人(相続を受ける人):兄と私の2人
・被相続人の保有株式:日本株(旧NISA口座)、米国株(特定口座)、中国株(特定口座)
・分割の基本方針:各銘柄をそれぞれ半分ずつ分ける。端数はすべて兄に受け取ってもらう。
株式を分割する場合、銘柄単位でどちらかに振り分けることはその価値が違うので困難です。
私たちは、各銘柄の株数を半分ずつにしました。
単元単位でしか分割できない
ところで、株式には「単元」というものがあります。
日本株の場合は、こちらの説明の通りです。(単元未満株については今回は考慮しません)
単元株とは、通常の株式取引で売買される売買単位のことです。単元は、ある一定のルールをクリアすれば企業が自由に決めることができるので、1単元の株数は銘柄によって異なりますが、1株、100株、1,000株が一般的です。ただし、かつてはバラバラだった上場企業の売買単位は、投資家の利便性を考えて徐々に集約され、現在はすべて100株に統一されています。
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ta/J0032.html
通常の株式取引では、この売買単位の整数倍で取引が行われます。売買は100株、200株、300株…と100株単位で行われ、150株など単元の整数倍以外の株数での取引は行うことはできません。
外国株の場合は違います。
例えば、米国株は1株単位、中国株は銘柄毎に違うなどです。
つまり、相続人で等分しようとしても保有株数や相続人の人数によっては端数が生じます。
我が家は相続人が2人なのでシンプルですが、人数が多いと大変そうです。
母は経済力がある人だったので、有料老人ホームの費用もほとんど自分で賄っていました。
ただ、兄がその費用を一部サポートしていたこともあり、経済的な協力ができなかった私は兄に多めに取ってもらいたい気持ちがありました。
そのため、端数はすべて兄に受け取ってもらいました。
銘柄数が多いと書類を書くのが大変
証券会社には、銘柄ごとに「誰にどれだけ」振り分けるのか記入した書類を提出しなければなりません。
保有していた銘柄は事前に印字されていましたが、銘柄数が多いと大変です。
中国株のように銘柄によって単元が異なる場合は、まず単元を調べなければいけないので特に!
自分の時のことを考えたら、分散投資とはいえ、銘柄数は計画的に増やしたほうがよいと感じました。自分や子どもにとって、管理のしやすさというのも大事ですね。
被相続人と同じ証券会社に口座が必要
相続人は、被相続人と同じ証券会社に口座が必要です。
他の証券会社の口座で直接受け取ることはできません。
既に他社に証券口座がありそこに一本化したい場合、一旦は被相続人と同じ証券会社に口座を開設して相続を行います。
そして、相続が完了したら、株式を移管し不要な口座は閉じることになります。
NISA口座の株式はNISA口座では受け取れない
被相続人が旧NISAやNISA口座で保有していた株式は、相続人のNISA口座で受け入れることはできません。
一般口座や特定口座に受け入れることになります。
現実的には源泉徴収ありの特定口座で受け入れることが多いかと思います。
生涯売るつもりがない銘柄(継承目的の銘柄)だったら、NISA枠を使わなくてもよいということ?
自分が取り崩す予定があるものにフォーカスしてNISA枠を使えばよいのか?
まあ、枠を超えて運用できる場合だけ考えればいいことか!
取得価額は、被相続人が取得した額が引き継がれる
特定口座にあった銘柄については、取得価額は被相続人が取得した時の額が引き継がれました。
但し、限定承認という相続の仕方をした場合はこの限りではないようです。
また、旧NISA口座で保有していた銘柄については、亡くなった日の終値が取得価額として引き継がれました。それによって、亡くなるまでの利益に対して非課税として扱われたことになります。
私の母は、新NISA口座は利用していなかったのですが、新NISA口座も旧NISA口座と同様の扱いのようです。
相続後、米国株を移管して気づいたこと
私は相続後、日本株と米国株をSBI証券に移管しました。
移管先のSBI証券で米国株のデータを見たところ、円ベースの取得価額は引き継がれていたものの、現地通貨(米ドル)ベースの取得価額は非表示でした。
移管元の証券会社の資料を見たところ、現地通貨での取得価額は見られなかったので、たまたま移管元の証券会社が現地通貨での取得価額のデータを持ち合わせていないのか(そんなことはあるのか?)、それとも、データがあったとしてもどの証券会社間の移管でも円ベースの取得価額しか引き継がれないのかは不明です。
移管先のSBI証券で買った米国株については円・現地通貨両方で取得価額が表示されます。
しかし、移管して受け入れた銘柄については現地通貨でどれだけ評価損益が発生したのか確認できません。(円だけで見ています)
損益通算するときに円価額があれば計算できるという意味で、現地通貨の取得価額が引き継がれないのかもしれませんが、為替を考慮せず損益が確認できないのは少し不便です。
おわりに
先に亡くなった父の時は相続実務を母がすべてしてくれたので、今回初めて相続実務を経験しました。
相続の仕組みをいろいろ勉強することができたと同時に、自分の先々のことを考えながら資産運用をした方がよいと感じました。
例えばこんなこと。
・等分できる株数で揃える
・銘柄を無計画に増やさない
・証券口座を1つにまとめる
・これから証券口座を開設するなら、どこがよいか子どもと相談する(子どものと同じ証券会社にすることも考える)
母は長期運用だったせいか、少しの損失はあっても、大きな損失を出しているものはありませんでした。
受け取ってみて感じたのは、先代が損失を出そうと、受け取った側は自分で資金を投入して取得したわけではないので、その銘柄の受け取った数量分については損失という概念がないということです。
常々「2人に少しでも多く残してやりたい」と言ってくれていた母。
本当にありがとう。(やだ、泣けてきた)
そして今、私も自分の子どもたちに同じように思っています。
これからの難しい時代を生き抜かなければならない子どもたちを、この世を去ってからも守ってやりたい。
それが、資産運用を勉強する私のモチベーションになっているのは間違いありません。
安心してこれからを生きるために
株式一つとっても相続手続きは大変です。
不動産もしかり。
どのような資産がどれだけあって、関係書類がどこにあるのか、普段から家族で共有しておくと、万が一の時、残された者が救われます。
母は、税理士さんからも絶賛されたほど終活をしっかりしてくれました。
私もこれからを安心して生きるために終活中です!
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